DEPプロトコルは、汎用的なブロックチェーン基盤の上に、特定用途向けの「検証モジュール群」を配置し、サービス事業者(Service Provider)がそれらを組み合わせてソリューションを構築する3層構造で構成されています。
4.1 Layer 1: コア・ブロックチェーン & コンセンサス層 (Foundation Layer)
システム全体の信頼性と決済を支える最下層の基盤です。上位レイヤーのモジュール群はこの層の上で稼働し、データの最終的な確定(Finality)と価値移転が行われます。
- コンセンサス・エンジン:
- 分散型ノードによる合意形成を行い、検証結果の正当性を保証します。
- オンチェーン台帳 (Ledger):
- トークンの決済履歴、データハッシュ、モジュールの実行ログを改ざん不可能な状態で記録します。
- DEPネイティブ規格:
- ガス代(手数料)の支払いや、ノードによるステーキング(担保)といった、エコシステムを維持するための基本通貨機能を定義します。
4.2 Layer 2: ユースケース特化型モジュール層 (Domain-Specific Modules)
本プロトコルの核心となるレイヤーです。特定のデータ需要(AI学習、広告、地図等)に合わせて開発された「専用検証エンジン」がプラグインのように提供されます。 サービス事業者は、自社のビジネスに必要なモジュールを選択し、プロトコルに対してDEPトークンで利用料を支払うことで機能を呼び出します。例えば次のようなモジュールを想定しています。
このモジュール群は、DIP(DEP Improvement Proposal)によって様々なケースに拡張できる仕組みとなります。
- RLHF検証モジュール (Reinforcement Learning from Human Feedback):
- LLM(大規模言語モデル)の調整に必要な「人間のフィードバックデータ」を検証・スコアリングする機能です。回答の自然さや正確性を評価し、AI学習に不適切なノイズを除去します。
- アドフラウド対策モジュール (Ad Fraud Detection):
- 広告配信ログやユーザー行動データを解析し、botによる不正クリックやインプレッション詐欺を検知・排除する機能です。
- 地理空間データ検証モジュール (Geo-Spatial Verification):
- GPSデータやマッピング画像の整合性をチェックし、位置情報の偽装(Spoofing)を防ぎながら、現実世界の最新データを生成します。
4.3 Layer 3: インテグレーション & ゲートウェイ層 (Integration Layer)
エンドユーザーやサービス事業者がプロトコルと接続するためのインターフェース層です。
埋め込み型SDK (Data Mining Client):
- プロトコル提供と事業者実装: 各Layer 2モジュールに対応した「公式SDK」をプロトコルが提供します。サービス事業者(および提携アプリ開発者)は、利用したいモジュールのSDKを選択し、自身のアプリケーションに組み込んで配布します。
- 標準化とセキュリティ: プロトコルがSDKのコアロジックを管理することで、データの改ざん耐性を高め、モジュールごとの検証基準(プロトコル)に完全準拠したデータ収集を保証します。
APIゲートウェイ (Service Interface):
- サービス事業者側: 事業者がモジュール機能を呼び出したり、検証済みデータを取得するための接続口です。事業者はここでDEPトークン署名を行い、モジュールへのアクセス権を行使します。自社でデータ収集手段(SDK)を持たない事業者(データ・アグリゲーター等)であっても、このゲートウェイを通じて世界中のSDKネットワークから生成されるデータを検索・購入(取得)することが可能です。
4.4 経済的接続: B2B2B 循環モデル (Economic Flow)
実経済の資金流動(Fiat)を、サービス事業者を介してDEPトークンの需要(Token)に変換する経済モデルです。
- エンドクライアント(最終消費者/企業) → サービス事業者
- 【支払い: 法定通貨 (JPY/USD)】
- AI開発会社や広告主などの最終顧客は、サービス事業者に対して、既存の商習慣通り「法定通貨」や「請求書払い」でサービス利用料(データ購入費等)を支払います。彼らはブロックチェーンやトークンを意識する必要はありません。
- サービス事業者 → DEPプロトコル
- 【支払い: DEPトークン (必須)】
- 顧客からFiatを受け取ったサービス事業者は、プロトコルのモジュールを利用するために、市場からDEPトークンを調達し、プロトコルへの支払いに充てます。
【サービス事業者の形態】 本エコシステムには、主に2種類のサービス事業者が参加します。
- パブリッシャー型(Pattern A): 自社アプリにSDKを導入し、収集したデータを収益化する事業者。
- アグリゲーター型(Pattern B): 自社ではデータ収集アプリを持たず、プロトコルを通じてサードパーティ・アプリ群からデータを買い集める事業者。 彼らは「純粋なデータ購入者(Buyer)」として機能し、高度な分析やパッケージングを付加価値としてエンドクライアントへ販売します。